解説・ストーリー
17世紀のオランダを舞台にした『真珠の耳飾りの少女』は、ヨハネス・フェルメールの絵画からトレイシー・シュバリエが着想した小説『真珠の耳飾りの少女』の映画化作品。絵画の世界観そのままに映像に落とし込んだ作風は大きな評価を得ることになりました。
物語は、若く貧しい少女グリエットが有名な画家ヨハネス・フェルメールの家でメイドとして働くことから始まる。芸術、陰謀、禁断の欲望の世界に足を踏み入れた彼女の人生は、劇的な変化を遂げることとなる。
ある日、グリエットに芸術センスがあることをフェルメールは気づく。光と色の戯れを観察し理解する彼女に天賦の才能を見出します。グリエットはフェルメールの絵と、その瞳に宿る神秘的な力に魅了されるようになる。
二人の関係が深まるにつれ、グリエットは複雑な感情の渦に巻き込まれていく。嫉妬深いフェルメールの妻カタリーナが、二人の間に禁断の関係があるのではないかと疑う中、彼女はフェルメールの作品への愛情を深めていかなければならない。そして、グリエットの存在は、家庭内の対立の種となる。
そんな中、グリエは肉屋の息子ピーテルと親しくなり、よりシンプルな暮らしができるようになる。しかし、フェルメールに傾倒し、自分の芸術的才能を表現したいと願うグリエットの決断は複雑だった。やがてカタリーナはグリエットが被写体の作品で自分の耳飾りをしているのを目にする…。
「真珠の耳飾りの少女」としてのグリエットの絵が、この物語の中心的存在となる。フェルメールが肖像画の制作を進めるにつれ、画家と被写体の関係を形成する力関係や暗黙の欲望が明らかになります。この絵は、そんなグリエットのつながりと憧れの一瞬をとらえた作品でもあるのです。フェルメールの精巧な絵画と17世紀オランダの厳格な社会構造を背景も同時に描写しています。
観客レビュー
“真珠の耳飾りの少女 “は、精緻な映像と最高の演技で魅了する。スカーレット・ヨハンソンとコリン・ファースのケミストリーが伝わってくる。クレジットが流れた後もずっと心に残る、説得力と喚起力のある映画です。”
“フェルメールの絵画のエッセンスを見事に表現した映画です。スカーレット・ヨハンソンの描くグリエットは魅惑的で、撮影は息をのむほど美しい。スクリーン上の芸術性に畏敬の念を抱かせながら、あなたを別の時代へといざないます。”
“真珠の耳飾りの少女 “は、静かでありながら力強い映画である。演技はニュアンスに富んでおり、特にコリン・ファースがフェルメールを表現している。細部へのこだわりと、禁断の欲望を繊細に追求することで、魅惑的で考えさせられる作品に仕上がっています。”
スタッフ・キャスト
監督:ピーター・ウェバー
脚本:オリビア・ヘトリード
原作:トレイシー・シュバリエ
製作:アンディ・パターソン、アナンド・タッカー
音楽:アレクサンドル・デプラ
撮影:エドゥアルド・セラ
編集:ケイト・エヴァンス
美術:ベン・バン・オス
衣装:ディーン・バン・ストラーレン
キャスト:
グリエット:スカーレット・ヨハンソン
ヨハネス・フェルメール:コリン・ファース
ファン・ライフェン:トム・ウィルキンソン
ピーテル:シリアン・マーフィー
マリア・ティンス:ジュディ・パーフィット
フェルメール夫人:エッシー・デイヴィス
タンネケ:ジョアンナ・スキャンラン
コーネリア(フェルメールの娘):アラキナ・マン
グリエット:クリス・マクハレム
グリエットの母:ガブリエル・レイディ
フラン:ロロ・ウィークス
メルトゲ:ローラ・カーペンター
薬屋:ジョン・マケネリー
映画評論家・メディア評
レビュー “この魅惑的な映画は、トレイシー・シュバリエの小説に美しく命を吹き込んでいる。スカーレット・ヨハンソンがグリエットを演じ、絶妙な撮影がフェルメールの絵画の本質を捉えている。映画的な宝石だ。”
レビュー “真珠の耳飾りの少女は、力強い演技と魅惑的な雰囲気で盛り上がった豪華な時代劇である。コリン・ファースはフェルメールに深みを与え、スカーレット・ヨハンソンはその存在感に魅了される。視覚的な喜びだ。”
受賞歴
第76回アカデミー賞(2004)
撮影賞:エドゥアルド・セラ(ノミネート)
衣装デザイン賞:ディーン・バン・ストラーレン(ノミネート)
美術賞:(ノミネート)
第61回ゴールデングローブ賞(2004)
最優秀主演女優賞(ドラマ):スカーレット・ヨハンソン(ノミネート)
最優秀作曲賞:アレクサンドル・デプラ(ノミネート)
コメント