解説・ストーリー
クエンティン・タランティーノ監督の最高傑作として呼び声の高い『イングロリアス・バスターズ』(2009)は、第二次世界大戦修正主義の映画です。興行収入も「パルプ・フィクション」の2億ドルを超え、アカデミー賞では8部門にノミネートされる名作です。
ナチス占領下のフランスで、ショザンナ・ドレフュス(メラニー・ロラン)は「ユダヤ人ハンター」こと親衛隊大佐ハンス・ランダ(クリストフ・ヴァルツ)によるユダヤ人の捜索で、匿っていてもらった酪農家で見つかり、一家は惨殺。ドレファスは九死に一生で逃れます。
1944年、アルド・レイン米陸軍中尉(ブラッド・ピット)は、ユダヤ系アメリカ人で構成されたナチスに対する報復を行う「バスターズ」を結成します。レイン中尉は、捕虜をとらず拷問にかけ頭皮を剥いで殺害していた。その噂はヒトラー総統にも伝わっている。
ドレファスはといえば、パリで映画館を所有する叔父の後を引き継いで運営していた。この2つの物語は、ヒトラーを含むナチス高官が出席するプロパガンダ映画のプレミア上映にドレファスの映画館が選ばれたことで収束する。
ドレファスは、後悔するプロパガンダ映画にニトロセルロースフィルムを使用し、ドイツ高官もろとも映画館を焼き尽くす計画を立てる。一方、映画の件を知ったバスターズは独自にこの出来事を利用してナチス政権に決定的な打撃を与えるべく映画館の爆破を計画する。
プロパガンダ映画「国家の誇り」の上映にドイツ高官が続々と集まりだす。そんな中、不穏な動きを嗅ぎつけた親衛隊大佐ランダは怪しい動きをする人物を始末していく…。
タランティーノの特徴的なセリフ、生き生きとした登場人物、不当な暴力が満載のこの映画は、戦争、サスペンス、ダークコメディの要素を組み合わせており、第二次世界大戦の歴史の物語を書き換えるクライマックスにつながります。
観客レビュー
「タランティーノの第二次世界大戦の大胆な描写は見事です。ストーリーはサスペンス、暴力、ブラックユーモアに満ちています。クリストフ・ヴァルツは『ユダヤ人ハンター』として観客を恐怖に陥れるはずです。」
「第二次世界大戦の映画をユニークに解釈したもので、気の弱い人向けではありません。歴史とフィクションを独創的にブレンドしています。ブラッド・ピットも輝いていますが、本当の逸品はクリストフ・ヴァルツの演技でしょう。」
「暴力表現が過剰ですが、タランティーノのセンスを備えた戦争映画です。会話は重要で興味深く、この映画は歴史的な出来事を大胆に表現しています。」
スタッフ・キャスト
監督:クエンティン・タランティーノ
脚本:クエンティン・タランティーノ
製作:ローレンス・ベンダー
製作総指揮:ロイド・フィリップス、ボブ・ワインスタイン、
ハーヴェイ・ワインスタイン、エリカ・スタインバーグ
撮影:ロバート・リチャードソン
編集:サリー・メンケ
音楽:エンニオ・モリコーネ
美術:デビット・ワスコ
衣装:アンナ・B・シェパード
キャスト:
アルド・レイン中尉:ブラッド・ピット
ショサナ・ドレフュス:メラニー・ロラン
ハンス・ランダ大佐:クリストフ・ワルツ
アーチー・ハイコックス中尉:マイケル・ファスベンダー
ブリジット・フォン・ハマースマルク:ダイアン・クルーガー
フレデリック・ツォラー:ダニエル・ブリュール
ヒューゴ・スティグリッツ軍曹:ティル・シュヴァイガー
ヴィルヘルム・ヴィッキー伍長:ゲデオン・ブルクハルト
マルセル:ジャッキー・イド
スミッソン・ウティヴィッチ:B・J・ノバク
エド・フェネック将軍:マイク・マイヤーズ
アドルフ・ヒトラー総統:マルティン・ヴトケ
ナレーター:サミュエル・L・ジャクソン
映画評論家・メディア評
受賞歴
第82回アカデミー賞(2010)
助演男優賞:クリストフ・ワルツ
作品賞:(ノミネート)
監督賞:クエンティン・タランティーノ(ノミネート)
脚本賞:クエンティン・タランティーノ(ノミネート)
撮影賞:ロバート・リチャードソン(ノミネート)
編集賞:サリー・メンケ(ノミネート)
音響編集賞:(ノミネート)
音響録音賞:(ノミネート)
第67回ゴールデングローブ賞(2010)
最優秀助演男優賞:クリストフ・ワルツ
最優秀作品賞(ドラマ):(ノミネート)
最優秀監督賞:クエンティン・タランティーノ(ノミネート)
最優秀脚本賞:クエンティン・タランティーノ(ノミネート)
第62回カンヌ国際映画祭(2009)
コンペティション部門
男優賞:クリストフ・ワルツ
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