解説・ストーリー
高倉健が「動乱」以来19年ぶりに東映映画に出演した作品である。共演の大竹しのぶ、広末涼子や志村けん、坂本龍一などのキャスティングも話題を集めた。
映画版は原作のイメージを損なうことなく、より幻想的な作品に仕上がっている。本編上の時間軸は、幌舞線の廃止と乙松が退職を迎える寸前の現代の年末から年明けにかけてで、加えて乙松が回想する形式で、かつて炭鉱で栄えた町だった幌舞に暮らしてきた人々にもスポットを当てている。
佐藤乙松は、道央にある廃止寸前のローカル線「幌舞線(ほろまいせん)」の終着駅・幌舞駅の駅長である。鉄道員一筋に生きてきた彼も定年退職の年を迎え、また同時に彼の勤める幌舞駅も路線とともに廃止の時を迎えようとしていた。彼は生まれたばかりの一人娘を病気で失い、また妻にも先立たれ、孤独な生活を送っていた。
鉄道員一筋。常に列車到着時刻を気にかけ、静枝が亡くなっても「ぽっぽや」だからとなかなか涙を見せなかった。
雪の正月、彼のもとに、真っ赤なランドセルをしょった少女が現れ人形を忘れて帰る。彼女の来訪は、彼に訪れた優しい奇蹟の始まりだった。
キャッチコピーは「男が守り抜いたのは、小さな駅と、娘への想い。」「1人娘を亡くした日も、愛する妻を亡くした日も、男は駅に立ち続けた…」
観客レビュー
⭐⭐⭐⭐⭐
ずっと不思議な感じで、ただひたすらに地に足ついた不器用な高倉健の佇まいが美しく静か。そして大竹しのぶと広末涼子が美しい。家族への想いや仕事への想いや、何度も静かに心がグッとくる瞬間があって、昭和の良い映画という感じだった。。観られてよかった。
⭐⭐⭐⭐
現代なら特殊技術を多用しイリュージョン場面の演出も凝ったものにはなるだろうが、その分あざとさや軽薄さが滲み出てしまう可能性も高まるだろう。本作のあの感じこそがエンドの驚きを引き出すうえで実は最適解だったのかもしれない。
⭐⭐⭐⭐⭐
本作の温かい雰囲気と国吉良一音楽が僕の涙腺を相性が良くて最初から号泣してしまいラストの展開には完全に涙腺が崩壊しすぎて鼻水が出てしまうぐらい号泣しました。
それに原作の寡黙で仕事をする佐藤乙松と高倉健さんとの相性も凄くて娘や妻が死が迫っているのに鉄道員の仕事を最後まで務めた事への罪悪感が報われる様なラストは本当に良かったです。
スタッフ・キャスト
監督:降旗康男
原作:浅田次郎
脚本:岩間芳樹/降旗康男
キャスト:
佐藤乙松:高倉健
佐藤雪子:広末涼子
佐藤静枝:大竹しのぶ
杉浦仙次:小林稔侍
杉浦明子:田中好子
杉浦秀男:吉岡秀隆
杉浦由美:大沢さやか
吉岡肇:志村けん
吉岡敏行:松崎駿司(安藤政信)
加藤ムネ:奈良岡朋子
飯田:中本賢
川口:平田満
新村:江藤潤
町長:石橋蓮司
映画評論家・メディア評
受賞歴
第23回日本アカデミー賞(2000)
作品賞
監督賞:降旗康男
脚本賞:岩間芳樹/降旗康男
主演男優賞:高倉健
主演女優賞:大竹しのぶ
助演男優賞:小林稔侍
助演女優賞:広末涼子(ノミネート)
音楽賞:国吉良一(ノミネート)
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